2026年4月4日。娘が生後4ヶ月を迎えました。
最近の娘がクーイングや笑顔をよくみせてくれるようになり、
それを糧に日々、仕事と育児に取り組んでいます。
幸せを噛みしめる一方で
現役の薬剤師として現場に立つ私は今
ある強い危機感を抱いています。
患者さんのために工夫し尽くされた素晴らしいお薬が
今、人知れず消えていこうとしています…
名薬の悲劇 ─ 『飲みやすさ』を追求した薬が消えていく

えっ!?店長!レボフロキサシン粒状錠が製造中止になるんですか…?



困ったよね…
先発品のクラビット錠500mgは、効果は素晴らしいけれど錠剤が大きくて飲み込むのが本当に大変なんだよね。



ですよね…喉の細い女性や高齢者の方にとって、あの大きな1錠を飲むのは大変なんです!



そうなんだよ!
だから、ラムネのように小さく飲みやすくしてくれた『粒状錠』という工夫には、本当に救われていたし、採用して多くのみなさんに投薬していたんだけどね。
現場に届いた一報に、私は耳を疑いました。 持田製薬が手がける『レボフロキサシン粒状錠』の製造中止。
このニュースは、現場の薬剤師だけでなく、多くの患者さんにとっても「希望」が絶たれる瞬間でした。
どんなに患者さんのことを想って作られた「優しい工夫」も、正しく認知され、選ばれなければ、市場から淘汰されてしまう。
これが今の医療業界の、あまりに悲しい闇なんです。
「安いからジェネリックにする」のは正しい節約ですが、その裏で「本当に価値のある工夫」まで消えていくのは、私たちの将来にとって大きな損失です。
私たちが知らないうちに、大切な選択肢を失っている。
これって、本当に私たちが望んだ「ジェネリック医薬品」の姿なのでしょうか?
私は、付加価値を持つジェネリックを『ExG(エクス・ジー)』と定義します!
「アドバンスド・ジェネリック(Advanced Generic)」
アドバンスト・ジェネリックとも呼ばれていたります。
この言葉は、まだ医療業界の一部でなんとなくでしか使われていません。
現場の薬剤師ですらその定義は曖昧で、一般の方にはほとんど認知されていないのが現状です。
さらに深刻なのは、名前が似ている「AG(オーソライズド・ジェネリック)」と混同されてしまうこと。
その結果、メーカーが心血を注いで生み出した「独自の工夫」が、言葉の霧の中に埋もれ、正当に評価されないまま市場から消えようとしています。
後ほど紹介する『血圧の薬』。実はその販売開始日は、2006年7月7日。
それほど前から、企業努力によって生み出された価値あるお薬は存在していたのです。
そして、その企業努力によって生み出された価値のあるお薬は今もなお、静かに製造販売されております。
お恥ずかしながら、私もその現実に気づいたのは今日でした。
そこで私は、一児の父として、そして現場の薬剤師として、
先発品を超えた「付加価値」を持つお薬を
『ExG(Extra-Value Generic)』 エクス・ジー と名付けることにしました。
内容:サワイの「二層構造」やロートニッテンの「PF容器」。先発品にはない独自の技術力。
内容:飲みやすさ、扱いやすさ。患者さんの「不便」を解消するメーカーの優しさ。
内容:医師・薬剤師の「目利き」とメーカーの「情熱」がかけ合わさり、患者様の安心が最大化すること。
現場で起きている「ゴーストピル」という静かなる課題
- ゴーストピル(薬剤残渣)とは?
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お薬を飲む回数を減らしたり、副作用を軽減する為に、一部のゆっくり効くお薬があります。
製剤技術が発達し、その ゆっくり効く薬(徐放性製剤)が誕生しました。
有効成分が溶け出した後、薬の形を維持する「殻(溶けないカプセルのようなもの)」だけが排出されるタイプのものがあります。私たち薬剤師は、これを以下のように説明します。
「便の中に、薬の殻みたいなものが混ざる事があります。中身の主成分はちゃんと体に吸収されていますから、安心してください。」これは、医療の世界では“常識”とされている説明です。
しかし、私はふと思いました。医学的な正論を伝えて「安心させる」だけで、本当に十分なのでしょうか?
患者さんが目にする「溶け残った殻」には、実はもっと深い課題が隠されているのではないか――。その薬剤師の「疑念」を技術で解決してくれたのが、次にご紹介するメーカーの挑戦でした。
この以下の記事は、放置できない「ゴーストビル」のリスク事例(タップして詳細を確認)
- 【多量のゴーストピルが直腸に長期遺残し難治性直腸潰瘍をきたした1例】
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加齢などにより直腸の排便機能が低下している患者において、ゴーストピルが直腸内に長期滞留・堆積し、石状に固着。その物理的圧迫によって直腸壁の血流障害を引き起こし、約10cmに及ぶ巨大な難治性潰瘍を形成した事例が報告されています。
原因薬剤の中止と物理的な残渣除去により劇的な改善が見られたことから、排便困難を伴う高齢者等への徐放製剤投与には、潜在的な組織障害リスクが伴うことを示唆しています。(日本大腸肛門病会誌 75巻4号:p.188-192,2022年)
- 【クローン病患者でウパダシチニブの「ゴーストピル現象」による症状悪化例】
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クローン病等の腸管狭窄を有する患者において、ゴーストピルが狭窄部に嵌頓し、イレウスを惹起した事例。「成分放出後の殻は無害である」という前提が、解剖学的な狭窄がある条件下では通用せず、。著者らは、このような患者に徐放性製剤を使用する際には、患者の消化管の状態(短腸症候群や人工肛門を有する患者では、薬剤の吸収が不十分になる可能性がある)を十分に考慮すべきであると強調している。
これも重篤な急性症状に直結するリスクがあることを示唆しています。(出典:Journal of Gastrointestinal and Liver Diseases / 2025年掲載)
「Upadacitinib Ghost Tablets Associated with Exacerbation of Crohn’s Disease: A Case Report」 - 【内視鏡検査における薬剤残渣(ゴーストピル)の鑑別に関する報告】
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大腸内視鏡検査において徐放性製剤の残渣が、一見してポリープや粘膜下腫瘍と酷似する場合があることが報告されています。
これらに対し、内視鏡の送水による可動性の確認や、鉗子による接触時の質感の確認が、不要な生検や切除を避けるための重要な鑑別手技として推奨されています。
臨床上の懸念として、内視鏡検査時に残渣が粘膜に付着することで「ポリープとの誤認」や「精密な観察の妨げ」になる点が指摘されています。これは単なる見た目の問題ではなく、検査の精度と効率を低下させる物理的なリスクと言えます。(参考論文)
塩谷 昭子, 他:内視鏡的に粘膜下腫瘍との鑑別を要した薬剤残渣の1例. 日本消化器内視鏡学会雑誌 53(1): 125-131, 2011.
笹本 貴広, 他:大腸内視鏡検査においてポリープとの鑑別を要した徐放性製剤の残渣の1例. 日本消化器病学会雑誌 109(1): 86-91, 2012.
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現場の薬剤師として多くの患者さんと向き合いう中で、私はこの「当たり前」の裏側に潜む、看過できない課題に気づきました。単なる「溶け残った殻」が、時には内視鏡検査を邪魔し、時には患者さんの体に予期せぬ負担を強いているという事実。
症例が非常少なく問題ではないと、理屈では分かっていても消えない、患者さんへの心の奥にある「言葉にならない不安」です。「説明して安心させる」のではなく、「物理的にリスクを消し去る」。
だからこそ、私は「最初からそのリスクを技術で消し去ったお薬」に、新しい価値の基準である『ExG』を与えたいのです。
次は、私が提唱するExGの象徴とも言える、あるメーカーの執念をご紹介します。
アダラートCRとジェネリックメーカーの足跡
この以下の記事は、アダラートCRとジェネリックメーカーの足跡(タップして詳細を確認)
今回の調査は2010年代まで遡って添付文章やインタビューフォーム(IF)を基に、ニフェジピンCRの後発品メーカー6社『沢井製薬(サワイ)・東和薬品(トーワ)・日医工・ニプロ(NP)・全星製薬(ZE)・三和』をすべて比較しました。
- 出来事: バイエル薬品から「アダラートCR錠」が発売。
- 技 術::当時の最先端「ジオメトリー構造(浸食性マトリックス)」を搭載。
- 背 景::1日1回の服用で24時間安定して効く画期的な薬として登場。
この時「殻が出る」のは、高度な技術の証(仕様)として受け入れられていた。
- 出来事: 続々とGE(ジェネリック)が登場。サイズはどこも 直径9.2mm 前後の大型。
- 《サワイ(沢井製薬)の執念》
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多くのメーカーが「殻が残る先発品のコピー」を作る中、サワイはこの時期から『3層構造フィルム構造』を採用し、「殻を消す(ゲル化崩壊)」という独自の道を歩み始めた
- 《トーワ(東和薬品)の執念》
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トーワは、サワイのように「外側のフィルムで制御する」のではなく、「有核錠(二層構造)」の内側と外側のバランスを工夫することで、殻を劇的に残りにくくする研究を進めていました。
- 出来事:先発品を含む主要各社が、飲みやすさを追求して 7.8mm への小型化を達成。
- 混迷期::「サイズは同じ」になったことで、患者さんや薬剤師から見れば「どれも同じ」に見える「GEのコモディティ化」が起きた。
- 出来事:日医工の業務停止命令を皮切りに、複数のGEメーカーで不祥事が発覚。
- 背 景:低価格競争の裏側で起きていた品質管理の問題が浮き彫りに。
ニフェジピンCRで大きなシェアを持っていたメーカーが供給停止に追い込まれ、市場のバランスが根本から崩れた。
- 出来事:先発品「アダラートCR」が限定出荷・出荷調整に。
- 現場の痛み::在庫があるものを渡すしかない「消去法」の調剤。
しかしそこで、切り替えた患者さんから「便に殻が出る」という不満や不安が再噴出。
私たち薬剤師は必死に在庫を探し、ようやく調剤できた代わりの薬。
しかし、先発品(アダラートCR)では経験しなかった「ゴーストピル」という現象に、ジェネリックメーカーの不信感の中、患者さんは『薬が効いていないのではないか』等のという強い疑念を抱きました。
私たち薬剤師は、単に「中身の成分は同じです」と説明するだけでは足りないことを痛感しました。
あの時、もし私たちがサワイの消失技術やトーワの有核構造を深く理解し、自信を持って説明できていたら…
患者さんのQOLや精神的な安心まで守るためには「形が残らない(あるいは残っても不安にならない)」という患者さんへの説明や製剤工夫がいかに重要であるか、その本質に気づかされた転換点でした。
- 内容:混乱を少しづつ乗り越え、私たちは今「質」で選ぶステップへ。
医薬品の安定供給という最低条件を満たしたうえで、『殻のゲル化(サワイ)』や『安心の構造(トーワ)』という付加価値を持つ製剤こそが、我々が選ぶべき ExG(Extra-Value Generic) である。
娘の世代に「良いお薬」を残すために
「安いからジェネリックにする」 その選択自体は、家計を守るために必要なことです。
しかし、今回の調査で分かった通り、すべてのジェネリックが同じではありません。
先発品のデザインをなぞるだけの「コピー」に徹するメーカーがある一方で、自らの執念をもって、小型化と「殻を残さない」という進化を選んだメーカーがあります。
私が選ぶのは、情熱がある方のジェネリックです。
今日で生後4ヶ月を迎えた娘。
彼女がいつか大人になり、お薬が必要になったとき。
そこにある選択肢が、ただの「安い代替え品」ばかりであってほしくない。
メーカーが知恵を絞り、患者さんの痛みに寄り添い、昨日よりも今日、今日よりも明日と進化し続けた「本物の薬」が残っていてほしい。
だから私は、薬剤師として、そして一人のパパとして、付加価値を持つお薬を『ExG(Extra-Value Generic)』と呼び、これからも発信し続けます。
「どれも同じ」から「中身で選ぶ」時代へ。
あなたの薬局の棚にあるニフェジピンCR、その一錠に込められたメーカーの執念を、ぜひ一度想像してみてください。
「ExG(進化したお薬)が、当たり前に選ばれ、残り続ける世界を作りたい!」
これが、今日という日に私が立てた誓いです。(2026年4月4日)


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