患者さん過去に子供が数回、熱性けいれんを起こしてて…
先生に相談したら予防の坐薬と、一応解熱用の坐薬も出しておきますねって話でした。
熱を下げればいいのでしょうか?



なるほど。大切なお子様がけいれんする姿を何度も見るのは、本当に辛く不安になるかと思います。病名も『熱性』と言われるので、熱をさげないと思うかもしれませんが、予防の坐薬の方が先なんです。



つい熱を下げれば安心だと思って、解熱剤を先に使うつもりでしたが違うのですね…



そこが一番のポイントなんです!
今日は、そんな時に迷わないため、2つの坐薬の『役割』と『入れる順番』を分かりやすく解説しますね。
これさえ知っておけば、心に余裕が持て対応できるようになりますよ。
☑ 「熱性けいれん」について基本知識
☑ 子供が熱性けいれんを起こした時の「正しい初動とNG行為」
☑ ダイアップを使用する基準と「予防」の考え方
☑ ダイアップと解熱剤、2種類ある時の「入れる順番と間隔」
☑ 坐薬の「カット(調節)」正しいやり方
☑ 意外と知らない「しぶり腹(排便感)」や「お尻のかぶれ」への対処法
そもそも「熱性けいれん」ってなに?
脳がまだ「未熟」だから起きる一時的なもの
熱性けいれんは、主に6ヶ月〜5歳くらいまでの子が、38℃以上の発熱に伴う発作です。
急激な体温の上昇に脳が耐えきれず、いわば「頭がパンク」してしまった状態です。
「けいれん(ひきつけ)」しない場合もある。
- 原因: 脳の発達が未熟なため(成長とともに起きなくなります)
- 頻度: 日本人の子供の約7〜10%(10人に1人!)が経験する、実は身近なものです。
ほとんどの場合「後遺症」の心配はありません
初めて経験すると「脳に障害が残るのでは?」と心配になりますが、普通の熱性けいれんであれば、その後の発達や知能に影響を与えることはないとされています。
熱性けいれん自体は「病気」というより、成長の過程で起きる「一時的な反応」という側面が強いんです。
だからこそ、その場をどうやり過ごすかが重要になります。
熱性けいれんが起きたら?焦らずにやりたい「3つのこと」
けいれんしている子供を前にすると、頭が真っ白になってしまいますよね。
でも、「熱性けいれんの多くは数分で自然に止まる」ものです。
パパ・ママはまずは深呼吸して、次の3つのステップを順番に行いましょう。
まずは「安全確保」と「観察」
- 口の中に何もないことを確認しましょう。
- 吐いたものが喉に詰まらないよう、顔を横に向けます。
- 注意点: 窒息の危険があるため、口の中には何も入れないでください。
けいれんが「何分続いているか」は、医師が診断する上で最も重要な情報になります。
余裕があればで構いません。
目の動きや手足の震え方を記録しておくと、言葉で説明するより正確に伝わります。
やってはいけない「行為」
- 体を激しく揺らす(脳への刺激や負担になります)
- 頬を叩いたり、大声で名前を呼び続ける(これも脳への刺激や負担になります)
- 口の中に指やタオルを入れる(舌を噛むことは稀です。むしろ窒息や怪我の危険があります)
救急車を呼ぶべき「境界線」
- けいれんが5分以上続いている。
- けいれんが止まっても意識が戻らない。
- 唇や顔の色が紫(チアノーゼ)になっている。
- 手足の震えが「左右非対称」である。
知っておきたい「解熱剤」の本当の役割
解熱剤は「けいれん」を止める薬ではない
意外かもしれませんが、解熱剤を使って熱を下げても、熱性けいれんの再発を予防できるわけではありません。
けいれんは「熱の高さ」そのものよりも、「熱が急激に上がるタイミング」で起きやすいからです。
- ダイアップ: 脳の興奮を抑えて、けいれんを直接防ぐための薬。
- 解熱剤: 熱による体のしんどさ(ぐったりしている、眠れない等)を和らげ、本人の体力を温存するための薬。
- 代表的な坐薬:アンヒバ坐剤、アルピニー坐剤、カロナール坐剤
解熱剤は「けいれん」を止める薬ではない
意外かもしれませんが、解熱剤を使って熱を下げても、熱性けいれんの再発を予防できるわけではありません。
けいれんは「熱の高さ」そのものよりも、「熱が急激に上がるタイミング」で起きやすいからです。
- ダイアップ: 脳の興奮を抑えて、けいれんを直接防ぐための薬。
- 解熱剤: 熱による体のしんどさ(ぐったりしている、眠れない等)を和らげ、本人の体力を温存するための薬。
- 代表的な坐薬:アンヒバ坐剤、アルピニー坐剤、カロナール坐剤
使い分けの判断基準は「本人の状態」
薬剤師としてアドバイスするなら、判断基準は「体温計の数字」よりも「本人の表情」です。
- 使うべき時: 高熱で水分が摂れない、辛くて寝付けない、ぐったりしている時。
- 使わなくていい時: 熱が高くても、本人が比較的機嫌よく、水分も摂れている時。



熱性けいれんの既往がある子の場合は、「まずダイアップで熱性けいれんから守る。その上で、本人の辛さを取るために解熱剤を添える」というイメージを持つと、使い分けで迷わなくなりますよ。
【順番が大事】2種類の坐薬(ダイアップ・解熱剤)の併用ルール
ダイアップを使用する基準と「予防」の考え方
薬の使い方に入る前に、まず知っておいてほしい大切なことがあります。
- 大前提:医師の指示が最優先
-
お子様の既往歴や体質によって、医師から個別の指示(例:37.5度で1回目、など)が出ている場合は、必ずその指示に従ってください。
- 「必ずしも予防しなくていい」という選択肢
-
先ほどお伝えした通り、熱性けいれんは数分で自然に止まり、発作後も良好なことがほとんどです。
- 認知能力や学習能力が低下することもない ということが分かっています。
- 今後の「てんかん」発症率への影響はない
- ダイアップ使用による副反応出現のデメリットより、単純型熱性けいれんが再発するデメリットは小さいとも言われてます。
【重要】2種類入れる時の「30分ルール」
- 37.5度〜38.0度を目安に、けいれん予防として。
- ここでしっかりダイアップを吸収させます。
30分経って、まだ熱で本人が辛そうな場合に。
なぜ「ダイアップ」を先に入れるの?
坐剤は主成分と基材(坐剤の形をつくっている成分)からできています。
ダイアップは水溶性基材と呼ばれ、直腸内の水分を吸収して溶けて吸収されます。
詳しい話は省略しますが、解熱剤の坐剤は油脂性基材をつかっています。
順番を間違ったり、間隔を十分にあけないと、ダイアップの主成分が上手く吸収できず
効果が出るのに時間がかかったり、効果が不十分だったりします。
水溶性基材のダイアップ。消化管運動改善薬のナウゼリン(ドンペリドン)坐剤も同じ仲間です。
もし「うんち」と一緒にすぐ出てきたら?
| 入れてからの時間 | 薬の状態 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 5分以内 | 形がそのまま残っている | すぐに入れ直してOK |
| 5分〜15分 | 形が崩れている・溶けている | 30分以上様子を見て、 熱が下がらなければ再検討 |
| 30分以上 | 姿が見えない(または液体のみ) | 成分は吸収されています。 入れ直しはNG |
下記の記事で、坐薬の入れ直しの詳しい解説をしておりますので、よかったら参照して下さい。
坐薬の「カット(調節)」正しいやり方と注意点
お子様の体重に合わせて、坐薬を「2/3」や「1/2」に切って使うよう医師から指示されることがあります。
「薬を切るなんて失敗しそう…」と不安になるかもしれませんが、コツを掴めば大丈夫です。
なぜ「カット」が必要なの?
ダイアップ(ジアゼパム坐薬)には、4mg・6mg・10mgという決まった規格しかありません。
お子様の今の体重に対して「少なすぎず、多すぎない」絶妙な量を調整するために「カット」の指示が出ています。
いわば、お子様へのオーダーメイドな調整なんです。
失敗しない!坐薬の正しい切り方


使うカッターやナイフ、ハサミは、アルコール綿や除菌シートでしっかり拭いて清潔にします。
真っ二つに切るよりも、画像のように少し斜めに刃を入れると、挿入側の「細い形」を維持できます。
これだけで、お子様のお尻への刺激がぐっと減りますよ。
坐薬は体温で溶けるようにできているので、指の熱が伝わらないうちに素早く作業しましょう。
カットした「残り」はそもそもの、形状が挿入に向きません。
衛生面のリスク面でで切り口から雑菌が入る可能性があります。



包装のまま切る事で、衛生的で溶けずに、素早く行動できると思います。
もし坐薬が割れたりするようであれば、手なので少し温めてからきると上手くいくはずです。
なぜ「斜め」に切るの?
坐薬は挿入側が大きく、挿入後出てこないような設計のもと、あの形になっています。
なので、横に切るときはそのサイズの違いも考慮して切らないといけません。
縦に切ってしまったり、真横に切ると坐薬の角が多くなり肛門を傷つけたりする可能性があります。
あまり語られない「坐薬の副反応」と「局所的な反応」
坐薬を入れたあと、お子様がお尻をムズムズさせたり、赤くなったりすると「薬が合わないのかな?」と不安になりますよね。
ここでは、全身に影響する「副反応」と、お尻周りだけの「局所反応」を分けて整理しましょう。
挿入直後の「しぶり腹(排便感)」への対処
坐薬を入れた直後に、お子様が「うんちをしたい!」と力んでしまうことがあります。
これは、坐薬が直腸の粘膜を刺激して起きる反応で、専門用語で「しぶり腹」といいます。
- 対処法: 挿入後、1〜2分くらいはティッシュ越しに指でお尻を優しく押さえてあげてください。
- ポイント: 違和感は数分で落ち着くことがほとんどです。落ち着くまでは、抱っこをして気を紛らわせてあげましょう。
基剤(油脂性など)による「お尻のかぶれ」
さきほど『なぜ「ダイアップ」を先に入れるの?』でも説明した「基剤の」のお話になります。
薬そのものよりも、薬を固めている「基剤(油分)」が肌に合わずにかぶれてしまう子がいます。
- 症状: お尻の穴の周りが赤くなる、痒がる、湿疹が出る。
もし毎回赤くなるようなら、体質的にその薬の油分(カカオ脂やウイテプゾールなど)が合わない可能性があります。
坐薬のほとんどは油脂性基材なので、次に受診する際にお薬手帳の薬剤名を伝え、医師や薬剤師に「お尻が赤くなった」と伝えて、別の種類の薬への変更を相談してみてくださいね。
全身に現れる副反応
こちらは薬の成分が効いている証拠でもありますが、注意が必要なサインです。
- 【ふらつき・眠気】
-
ダイアップは脳の興奮を抑えるため、入れた後にウトウトしたり、歩くとふらついたりすることがあります。
対策: 薬が効いている間は、階段の上り下りや一人歩きを避け、安全な場所で見守ってください。 - 【低体温】
-
解熱剤を併用した場合、熱が下がりすぎて平熱以下になることがあります。
対策: お子様がガタガタ震えていないか、顔色が青白くないかを確認し、必要であれば衣類や毛布で保温してあげましょう。
下記の記事に、お子様向けの解熱剤について深掘りして解説しております。解熱剤について詳しく…
坐薬の「カット(調節)」正しいやり方と注意点
お子様の体重に合わせて、坐薬を「2/3」や「1/2」に切って使うよう医師から指示されることがあります。
「薬を切るなんて失敗しそう…」と不安になるかもしれませんが、コツを掴めば大丈夫です。
なぜ「カット」が必要なの?
ダイアップ(ジアゼパム坐薬)には、4mg・6mg・10mgという決まった規格しかありません。
お子様の今の体重に対して「少なすぎず、多すぎない」絶妙な量を調整するために「カット」の指示が出ています。
いわば、お子様へのオーダーメイドな調整なんです。
まとめ
- 熱性けいれんが起きたら: まずは落ち着いて「時間を測る」。5分以上続くなら迷わず救急車を!
- 坐薬の順番: 予防(ダイアップ)が先、解熱剤は「30分」あけてから。
- 坐薬のカット: 包装のままで「斜めに」カット。残りは衛生面と成分のムラを考えて必ず破棄。
- 副作用の不安: 挿入直後の「しぶり腹」は一時的なもの。
お尻が赤くなるのは「基剤(油分)」との相性の可能性もあります。
最後に・・・
子供のけいれんを目の当たりにするのは、何度経験しても怖いものです。
でも、医師や私たち薬剤師が坐薬をお渡しするのは、あなたを一人にさせないためでもあります。
この記事が、夜中に一人で不安と戦うパパ・ママの「安心のしおり」になれば幸いです。




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