赤ちゃんの肌はなぜ乾燥しやすい?|もちもち感とバリアの仕組み

赤ちゃんの肌はまだ育っている途中|大人とは違う肌の特徴をやさしく解説するアイキャッチ画像
目次

まずはじめに

このシリーズでは、
赤ちゃんの肌トラブルについて

「なぜ起きるのか?」から、

毎日のケアや保湿剤、塗り薬の使い方まで、
順番に整理します。

順番に読んでも、
気になる記事から先に読んでも大丈夫です。

  1. 肌構造の基本 👈今ここ
    ―赤ちゃんの肌について
     考えるための入口です。
  2. 肌を守る仕組み(防御反応)
    ―刺激から肌を守る体の働き
  3. 環境とスキンケア
    ―温度や湿度など環境と肌の関係
  4. 日常ケアとトラブル対応
    ―毎日の乾燥や赤みとの向き合い方
  5. お風呂ケアの基本
    ―洗い方を具体的に知る
  6. 保湿剤の選び方
    ―種類や使い分けを知る
  7. 非ステロイド薬の使い方
    ―保湿だけでよいか迷ったとき、
     別の選択肢を考える
  8. ステロイド薬の使い方
    ―塗る量や使い方、副作用への
     不安を整理する
患者さん

ちゃんと洗って、
保湿もしているのに、
うちの子、肌が赤くなったり
ザラザラしたりするんです。
赤ちゃんの肌って、
もともともちもちしているから、
しっかり守られているものだと
思っていたんですけど・・・

店長

毎日ちゃんと
ケアされているんですね。
実は、
肌がもちもちしているかどうかと、
肌を守る力があるかどうかは、
少し別の話なんです。

患者さん

そうなんですね・・・
じゃあ、うちの子の肌は
今、どんな状態に
なっているんでしょう?

店長

そこ、気になりますよね。
まずは、赤ちゃんの肌の外側が
今どうなっているのか、
一緒に見ていきましょう。

この記事で整理すること

この記事では、
次の3つを順番に整理していきます。

  • 赤ちゃんの肌の外側が、
    今どんな状態なのか
  • もちもちしている感触と、
    バリアの強さは、なぜ別の話なのか
  • 大人の肌と何が違うから、
    乾燥や日常の刺激の影響を
    受けやすいのか

赤ちゃんの肌は、
バリアが発達の途中です

見た目のやわらかさと、
肌の守る力は別です

赤ちゃんの肌は、
触るともちもちしていて、
やわらかく感じます。

ただ、
その感触と、肌表面の守る力は
同じものではありません。

赤ちゃんの肌は、
大人と同じ状態ではありません

赤ちゃんの肌は、
大人の肌とまったく同じ状態ではなく、

外からの刺激を防いだり、
水分を保ったりするはたらきが、

まだ発達の途中にあります。

大人の肌を基準にして考えてしまうと、
赤ちゃんの肌の状態を
見誤ってしまうことがあります。


肌の一番外側は、どうできている?

まずは、
下の図で皮膚全体のつくりを
見てみましょう。

筋肉から皮膚の表面まで、
どのように重なっているかを
ざっくり確認してみてください。

表皮・真皮・皮下組織からなる赤ちゃんの皮膚の基本構造を示した図

体の内側から、皮膚の表面までを見てみよう

まずは、図の左側を
体の内側から順にたどってみましょう。

体の奥には、体を動かす「筋肉」があります。

その上には、脂肪を多く含む「皮下組織」があり、

さらにその外側を「皮膚」がおおっています。

次に、図の右側で皮膚のつくりを
もう少し詳しく見てみましょう。

皮膚は、
外側の『表皮(ひょうひ)』と
内側の『真皮(しんぴ)』からできています。

そして、
表皮のさらに一番外側にあるのが、
このあと詳しく見ていく「角質層」です。

すべての名前を
一度に覚える必要はありません。

まずは、
筋肉の上に皮下組織があり、
その外側に皮膚があること。

そして、
皮膚の一番外側に近いところに
角質層があることを、図で確認してみましょう。

バリアの中心は、
表皮の一番外側にある角質層です

肌のバリア機能の中心となっているのは、
表皮のさらに一番外側にある
「角質層」という、とても薄い層です。

目に見えないほど薄い層ですが、
外からの刺激を受け止めたり、
体の内側の水分が
必要以上に逃げないようにしたりする、
大切な役割を担っています。

次の章では、
この角質層がどのような仕組みで
できているのかを見ていきます。


角質層のバリアは、
レンガとセメントでできています

まずは、
下の図で角質層のつくりを見てみましょう。

茶色いレンガのような部分と、
そのすき間を埋める部分に注目してください。

角質細胞と細胞間脂質が重なり、肌のバリアをつくる仕組みを示した図

【角質細胞】壁をつくるレンガ

図の茶色いレンガのような部分が、角質細胞です。

角質層は、
平たくつぶれた「角質細胞」という細胞が、
何層にも積み重なって、
肌の一番外側の壁をつくっています。

ただし、
角質細胞だけで外からの刺激を
防いでいるわけではなく、
次に紹介するものと重なり合うことで、
はじめてバリアとして働きます。

【細胞間脂質】すき間を埋めるセメント

レンガ同士のすき間を埋めているのが
「細胞間脂質」で、
こちらはセメントのような役割にたとえられます。

角質細胞(レンガ)と細胞間脂質(セメント)が
重なり合うことで、肌の水分を保ち、
外からの刺激の影響を受けにくくする
バリアをつくっています。

なお、
角質層の表面は、皮脂や汗などが混ざった
薄い膜(皮脂膜)にもおおわれていますが、

この膜も、
肌の表面をおおう仕組みのひとつです。

この記事では、
角質細胞(レンガ)と細胞間脂質(セメント)を
中心に見ていきます。

【NMF】レンガの中で水分を保つのを支える

図には直接描かれていませんが、
角質細胞(レンガ)の中には、
「天然保湿因子(NMF)」と
呼ばれる成分があります。

角質細胞(レンガ)と細胞間脂質(セメント)が
重なってバリアをつくる一方で、

NMFは角質細胞の中で
水分を保つのを支えています。


もちもちしていても、
バリアが強いとは限りません

触った感触では、
バリアの状態までは分からない

冒頭でも触れたとおり、
触ったときの感触と、
角質層のバリア機能は、
同じものを見ているわけではありません。

もちもちしていて気持ちよく感じられても、
それがそのまま
「バリアがしっかり働いている」
ことを意味するわけではないのです。

「もちもちだから保湿はいらない」
とは限らない

だからといって、
「もちもちしているから保湿はいらない」と
考えてしまうのも、少し違います。

肌の感触だけで判断するのではなく、
赤ちゃんの肌の状態に合わせて
ケアを考えることが大切です。

保湿剤の役割や選び方については、
【赤ちゃんの保湿剤、どう選ぶ?】
整理しています。


赤ちゃんの肌は、大人と何が違う?

角質層の構造や働きが、大人とは異なる

赤ちゃんの角質層は、
大人の角質層と比べて、
構造やはたらきが少し異なります。

細かな違いはいくつかありますが、
赤ちゃんの肌は、
大人の肌をそのまま
小さくしたものではありません。

水分を保つ仕組みも発達の途中

赤ちゃんの肌は、
大人とは水分の保ち方が異なり、
乾燥しやすい傾向があります。


発達途中の肌では、何が起きやすい?

水分を保ちにくく、乾燥しやすい傾向

先ほど触れたとおり、
赤ちゃんの肌は
水分の保ち方が大人と異なり、
乾燥しやすい傾向があります。

よく、蓋のないお鍋にたとえられるように、
水分を保つ仕組みがまだ発達の途中にあるため、
水分が逃げやすい状態になりやすいのです。

日常の刺激の影響を受けやすい傾向

赤ちゃんの肌は
大人とはバリアの状態が異なるため、
乾燥や摩擦など、
日常の刺激の影響を受けやすい傾向があります。

肌の反応や毎日のケアは、
次の記事で確認できます

赤みやかゆみ、炎症が起きたときの
体の反応については、
【赤ちゃんの赤み・かゆみ・炎症は
  体のサイン】で整理しています。

温度や湿度、衣類など、
生活の中で受ける刺激については、
【赤ちゃんの肌が
   荒れやすい生活の場面とは?】
確認できます。

よだれやおむつ、ひっかき傷など、
日常で起こりやすい肌トラブルへの
向き合い方については、
【赤ちゃんの毎日の肌ケア】
整理しています。


毎日のケアで意識したい3つの方向

ここまで見てきたように、
赤ちゃんの肌はバリアが発達の途中で、
水分を保ちにくく、
日常の刺激の影響も受けやすい状態にあります。

日々のケアでは、
次の3つの方向を意識しておくとよいでしょう。

STEP
【洗う】汚れを落とし、バリアを残す

赤ちゃんの肌では、
汚れを落とすことと同じくらい、
“肌のバリアを落としすぎないこと”も大切です。

レンガとセメントでできた壁を
強くこすらないように、
必要以上に洗いすぎないことを意識します。

汚れを落としながら、
肌への刺激を増やしすぎない。

その両方を考える、という方向です。

具体的な洗い方や、
お風呂のあとのケアについては、
【赤ちゃんのお風呂ケア】
確認できます。

STEP
【潤す】壁が水分を保ちやすい状態を支える

洗ったあとは、
肌の水分が保たれやすいように、
潤いを補ってあげます。

レンガとセメントでできた壁が
乾いてすき間の多い状態にならないよう、
外から水分や油分を補い、
肌が水分を保ちやすい状態を
支えるイメージです。

ここで大切なのは、
保湿剤がセメントそのものになる、
という意味ではないことです。

STEP
【守る】外壁塗装のように、肌の表面を覆う

仕上げは、
レンガとセメントでできた壁の表面を、
外壁塗装のように
薄い膜で覆って守るイメージです。

肌の表面を覆うことで、
水分が逃げるのを抑えながら、
乾燥や摩擦などの刺激を受けにくくします。

刺激をゼロにするのではなく、
刺激が重なりすぎないようにする。

そのためのひとつの方法として、
保湿剤が使われます。

保湿剤の役割や使い分けについては、
【赤ちゃんの保湿剤、どう選ぶ?】
確認できます。


📋 まとめ

この記事の整理
  • 赤ちゃんの肌は、
    バリアがまだ発達の途中です。
  • バリアの中心は、
    表皮の一番外側にある角質層です。
  • 角質細胞と細胞間脂質が
    重なり合うことで、
    バリアがつくられています。
  • 水分の保ち方が大人と異なるため、
    乾燥や日常の刺激の影響を
    受けやすい傾向があります。
  • 日々のケアでは、
    「洗う・潤す・守る」の3つの方向で、
    洗いすぎない・潤いを補う・刺激から守ることを意識するとよいでしょう。

最後に

赤ちゃんの肌が荒れやすいのは、
ケアが足りないからではありません。

赤ちゃんの肌には
赤ちゃんなりの理由があり、
バリアがまだ
発達の途中にあるからこそ、
変化が目に見えやすいのです。

仕組みを知っておくと、
日々のケアで
何を意識すればよいかが見えやすくなります。

毎日完璧を目指さなくても、
できるところから少しずつで大丈夫です。


📚 参考・引用
【ここをタップして詳細を表示】

  • Infant skin microstructure assessed in vivo differs from adult skin in organization and at the cellular level
    Stamatas GN, Nikolovski J, Luedtke MA, Kollias N, Wiegand BC. Pediatr Dermatol. 2010;27(2):125-131.
    [PubMedで確認]
  • Barrier function and water-holding and transport properties of infant stratum corneum are different from adult and continue to develop through the first year of life
    Nikolovski J, Stamatas GN, Kollias N, Wiegand BC. J Invest Dermatol. 2008;128(7):1728-1736.
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  • Epidermal lipids, barrier function, and desquamation
    Elias PM. J Invest Dermatol. 1983;80(1 Suppl):44s-49s.
    [PubMedで確認]
  • Stratum corneum hydration and amino acid content in xerotic skin
    Horii I, Nakayama Y, Obata M, Tagami H. Br J Dermatol. 1989;121(5):587-592.
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  • Understanding the Epidermal Barrier in Healthy and Compromised Skin: Clinically Relevant Information for the Dermatology Practitioner: Proceedings of an Expert Panel Roundtable Meeting
    Del Rosso J, Zeichner J, Alexis A, Cohen D, Berson D. J Clin Aesthet Dermatol. 2016;9(4 Suppl 1):S2-S8.
    [PMCで全文を確認]
  • Anatomy, Skin (Integument)
    Lopez-Ojeda W, Pandey A, Alhajj M, Oakley AM. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. Updated October 17, 2022. NCBI Bookshelf ID: NBK441980.
    [資料を確認する]

📝 この記事について

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